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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻7号

2000年06月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

下腸間膜静脈領域の静脈閉塞による左半結腸巨大潰瘍の1例

著者: 山本博1 植木亨1 梅岡二美1 手銭高志1 名田高幸1 谷口正人1 北村卓也1 依田広1 松枝和宏1 土居偉瑳雄1 小笠原敬三2 高三秀成2 津嘉山朝達3

所属機関: 1倉敷中央病院内科 2倉敷中央病院外科 3倉敷中央病院病理検査科

ページ範囲:P.951 - P.958

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要旨 患者は71歳,男性.左下腹部痛と血便で入院し,左下腹部に腸詰様の腫瘤を触知した.1か月前には注腸X線造影所見でS状結腸と下行結腸の伸展不良,不整鋸歯状の辺縁を認めた.また大腸内視鏡所見で結腸粘膜は軽度発赤し腫大した半月ひだにより管腔は狭くなっていたが,潰瘍やびらんは認めなかった.入院時には多彩な潰瘍性病変が認められた.下部直腸では不整形の小潰瘍の多発,上部直腸では不整形潰瘍,S状結腸と下行結腸では巨大全周性潰瘍が認められた.絶食と中心静脈栄養で加療したがS状結腸と下行結腸の狭窄を来し手術となった.外科切除標本の検索で下腸間膜静脈領域の静脈内膜肥厚と静脈炎による静脈閉塞が明らかとなった.静脈閉塞による虚血が大腸潰瘍の原因と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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