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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題

多発大腸癌の実態と臨床診断―高危険群の視点から

著者: 田村和朗1 楢林尚2 西上隆之3 山村武平4 宇都宮譲二15 指尾宏子67 山本義弘6 古山順一6 福井信7 山村誠7 田村和民7 里見匡迪7 下山孝7

所属機関: 1兵庫医科大学先端医学研究所家族性腫瘍部門 2楢林医院 3兵庫医科大学病理学第2講座 4兵庫医科大学外科学科2講座 5癌研究会付属病院家族性腫瘍センター 6兵庫医科大学遺伝学講座 7兵庫医科大学内科学第4講座

ページ範囲:P.995 - P.1004

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要旨 本邦においても大腸癌の罹患率は増加傾向にあり,その対策は重要である.その発生原因に関わるとみられる危険因子の検討は様々な分野の研究者により試みられてきた.癌の発生はその成因を環境要因と遺伝的要因に大別すると理解しやすい.大腸癌の危険因子を考える上でも,遺伝的素因は軽視できない.癌に罹患しやすい素因を生まれながらに備えている個人や癌患者が集積する家系が認められ,その頻度は数%に達する.一般に遺伝的要因を背景にした癌高危険群を見いだす臨床的指標としては,①若年発症,②多発傾向,③家族集積性が挙げられるが,大腸癌の場合は右側大腸癌も重要な兆候と考えられ,更に腫瘍の遺伝子不安定性検査の結果も重要視する必要がある.これらの兆候をもつ大腸癌患者は遺伝的要因を背景にもつことが推測され,その血縁者は高危険群として認識される.これら高危険群を的確に同定し,癌対策を進めることは意義あることと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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