icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題

大腸多発癌の画像診断―X線診断の立場から

著者: 甲斐俊吉1 丸山雅一1 小泉浩一1 坂井雄三1 風見明1 半田隆義1 幸地周1 保坂圭1 清水知己1 陳勁松1 二宮一郎1

所属機関: 1癌研究会付属病院内科

ページ範囲:P.1005 - P.1013

文献購入ページに移動
要旨 1984年1月から1999年12月までの15年問に当院で発見された大腸多発癌309例を対象に大腸多発癌の臨床的特徴と注腸検査における大腸多発癌診断能の実態について検討を行った.①大腸多発癌の個々の病変は直腸およびS状結腸に多いが病変は広く大腸全体に分布していた.②XP(-)病変の特徴は無茎性病変,10mm以下の病変,右側結腸病変などであった.③第1癌が進行癌の場合,狭窄で口側の検査ができなかったり,前処置不良となり注腸検査の精度が低下し病変が見逃される危険性が高い.また,第1癌発見による油断が異時性大腸多発癌の原因となった症例もみられた.④自験例の同時性2重癌を対象とした大腸検査法の正診率は注腸検査75.3%,内視鏡検査93.3%,併用98.9%であった.注腸検査を大腸多発癌の診断に用いる場合,見逃しの原因をよく理解した上で撮影や読影を行い,疑わしきは積極的に内視鏡検査を併用すべきである.そして,同時性大腸多発癌の見逃しは異時性大腸多発癌の原因となり,発見が遅れると予後に大きな影響を及ぼすので第1癌を発見したら第2癌の存在を念頭に置いた詳細な術前検査と術後の厳重な経過観察が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?