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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題研究

多発大腸癌における遺伝子学的検討

著者: 三嶋秀行1 西庄勇1 吉川宜輝1 武田裕1 辛栄成1 藤谷和正1 沢村敏郎1 蓮池康徳1 辻仲利政1

所属機関: 1国立大阪病院外科

ページ範囲:P.1035 - P.1041

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要旨 多発大腸癌の遺伝子学的特徴を明らかにするために,K-ras,p53を含む17番染色体短腕(17p)のLOH(loss of heterozygosity),18番染色体長腕(18q)のLOH,ゲノムの不安定性の指標であるMSI(microsatellite instability)について解析した.多発大腸癌では,K-ras遺伝子の変異が12.0%と一般大腸癌で報告されているもの(40~70%)よりも低く,p53遺伝子の変異は単発癌と多発癌で差がなかった.MSIは同時性多発癌で4.2%,単発癌で6.7%と差はなく,異時性多発癌で25.0%と高率であった.以上の結果から,多発大腸癌は単発大腸癌と比較して,K-ras遺伝子の変異が関与していないものが多く含まれている可能性が示唆された.また,MSIの結果から,多発癌の中でも同時性多発癌はHNPCC(hereditary nonpolyposis colorectal cancer)との関連性は低いが,異時性多発癌の中にはHNPCCが含まれている可能性が高いと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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