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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題症例

表面型早期癌の併存をみた上行結腸多発大腸癌の1例

著者: 泉信一1 野村昌史1 三好茂樹1 春山恭子1 網塚久人1 小山内学1 河上洋1 高橋邦幸1 渡辺晴司1 伊藤英人1 潟沼朗生1 姜貞憲1 桜井康雄1 辻邦彦1 吉田晴恒1 真口宏介1 斉藤裕輔2

所属機関: 1手稲渓仁会病院消化器病センター 2旭川医科大学第3内科

ページ範囲:P.1053 - P.1059

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要旨 患者は68歳,女性.血便を主訴に当センターを初診した.注腸X線および大腸内視鏡査を施行したところ,上行結腸肝彎曲部に大きさ約20mmのⅡa+Ⅱc様病変を認めた.立ち上がりは緊満感のある正常粘膜で覆われ,中央部には厚い白苔が付着した深い陥凹を認め,深達度ss以深の進行癌と術前診断した.更にそのすぐ肛門側に大きさ15mmのⅡa病変を認めた.表面は平坦で凹凸不整や明らかな陥凹面を有さず深達度mの早期癌と診断した.また,上行結腸のほぼ中央部に大きさ9mmで表面が顆粒状を呈する可動性良好な隆起性病変を認めた.明らかな浸潤癌の所見はなく腺腫ないしは粘膜内癌と診断した.以上から多発大腸癌の診断で右半結腸切除術を施行した.Ⅱa+Ⅱc様病変は深達度ssの粘液癌,Ⅱa病変は深達度mの高分化腺癌,上行結腸中央部の病変は,粘液結節を形成し深達度sm3まで浸潤した中分化腺癌であった.病理組織学的には粘液結節を有する2つの癌と表面型m癌の同時三重多発癌であったが,上行結腸中央部の病変はre-trospectiveな検討でも深達度sm3の診断は困難であった.癌の深達度診断および発育進展を考えるうえで興味ある症例と思われ報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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