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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題症例

若年発症の異時性多発大腸癌の1例

著者: 幸地周1 坂井雄三1 小泉浩一1 福田好世1 二宮一郎1 藤本さおり1 田辺寛1 甲斐俊吉1 丸山雅一1 上野雅資2 太田恵一郎2 太田博俊2 畦倉薫2 高橋孝2 武藤徹一郎2 柳澤昭夫3 加藤洋3

所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1061 - P.1066

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要旨 40歳未満の異時性多発大腸癌の1例を報告した.患者は,30歳時,便秘,黒色便を主訴に来院.横行結腸に2型進行大腸癌を認め,右半結腸切除術施行,以後1年間隔の注腸X線検査で経過観察されていた.35歳時,直腸にIsp病変を指摘され,早期大腸癌(粘膜内癌)の診断のもと内視鏡的切除術を施行された.本症例は若年発症,異時多発,第1癌が右側大腸,第1度近親者が大腸癌であることより,遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)を強く疑い遺伝子検索を行った.その結果,第1,2癌とも高頻度のマイクロサテライト領域の不安定性とTGF-βRII遺伝子の変異を認めた.以上の結果より本症例がHNPCCである可能性は極めて高いと思われた.本症例は,第1癌発症の時点からHNPCCを疑い,慎重な経過観察をすることにより,第2癌を早期発見し内視鏡的治療しえた症例と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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