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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻8号

2000年07月発行

文献概要

今月の主題 多発大腸癌 主題症例

右側結腸に同時および異時性に表面型大腸癌が多発した1例

著者: 加藤茂治1 佐野寧1 木庭郁郎1 傅光義1 吉野孝之1 吉田茂昭1 藤井隆広2

所属機関: 1国立がんセンター東病院消化器科内科 2国立がんセンター中央病院消化器内科

ページ範囲:P.1067 - P.1071

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要旨 患者は75歳,男性.1996年9月,便通異常を主訴に近医受診.大腸内視鏡検査(CF)にて上行結腸にポリープを指摘され,当院紹介となる.当院のCFにて,上行結腸に13×10mmのⅡa+Ⅱcと,近傍に13mmのⅡa(LST-NG)を認めた.また,横行結腸にも,12mmのⅡa(LST-NG)を認めた.横行結腸のⅡaに対しては,ポリペクトミーが施行されたが,上行結腸のⅡa+Ⅱcは,sm massiveと診断し,同年10月11日,上行結腸切除術が行われた.病理結果は,Ⅱa+Ⅱcは高分化腺癌(sm2,ly0,v0,n0)であり,近傍のⅡaも高分化腺癌(m,ly0,v0),更にポリペクトミーされた横行結腸肝彎曲部のIlaも高分化腺癌(m,ly0,v0)であった.また,術後9か月に行われたCFで,横行結腸に12mm大のⅡaを認め,EMRを施行したところ,高分化腺癌(m,ly0,v0)であった.更に,術後2年1か月後に行われたCFにて横行結腸に10mm大のⅡaを認め,EMRにて,高分化腺癌(m,ly0,v0)の診断を得た.以上,同時,異時性に5つの大腸癌の発生を認めた症例を経験した.いずれも肉眼型は表面型であり,発生部位は右側結腸に限局していた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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