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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

文献概要

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題 序説

薬剤性腸炎―最近の話題

著者: 飯田三雄1

所属機関: 1川崎医科大学消化器内科Ⅱ

ページ範囲:P.1115 - P.1116

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 薬剤性腸炎とは,薬物の投与によって下痢,下血などの臨床症状が惹起され,腸管にびらんや潰瘍などの炎症性変化を生じる場合と定義される.起因薬剤としては抗生物質によるものが最も多く,その臨床像についてはずっと以前の本誌(18巻2号,1983)の主題にも取り上げられ周知のこととなっている.すなわち,抗生物質起因性腸炎は,非偽膜型(出血性腸炎)と偽膜型(偽膜性腸炎)に大別され,両型で臨床症状やX線および内視鏡所見が明らかに異なることが知られている.一方,近年,腸管出血性大腸菌(O157:H7)による出血性腸炎を代表とする種々の感染性腸炎や,種々の虚血性腸病変の臨床像が報告されており,日常臨床において抗生物質起因性腸炎との鑑別を要する症例に遭遇する機会も多い.このような状況をふまえ,本主題号では,抗生物質起因性腸炎を代表とする薬剤性腸炎の臨床像を再整理するとともに,その鑑別診断について言及される予定である.

 薬剤性腸炎の起因薬剤として,抗生物質以外に非ステロイド性抗炎症剤(nonsteroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs),抗癌剤,重金属製剤,免疫抑制剤,経口避妊薬などが知られているが,なかでもNSAIDsに起因した薬剤性腸炎の報告例が近年増加しつつある.その理由として,高齢化社会を反映しNSAIDsの使用頻度が増えたことと,大腸癌検診による便潜血検査の普及とともに全大腸内視鏡検査の頻度が増えたことなどが挙げられる.そこで本号は,NSAIDs起因性腸炎の臨床像を明らかにすることをもう1つの目的として企画された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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