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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題

主題

NSAID起因性下部消化管病変の臨床像―腸炎型と潰瘍型の対比

著者: 松本主之1 飯田三雄2 蔵原晃一3 檜沢一興3 中村昌太郎3 本多啓介2 天野角哉2 小堀陽一郎2 八尾隆史4

所属機関: 1九州大学医学部光学医療診療部 2川崎医科大学消化器内科Ⅱ 3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 4九州大学大学院医学研究院形態機能病理学

ページ範囲:P.1147 - P.1158

文献概要

要旨 3年間に経験した下部消化管病変のうち,抗生物質非投与かつ非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の投与歴が明らかで,薬剤の中止により病変の改善が確認できた16例の臨床像と大腸病変の経過を検討した.①3例はカルボン酸,プロピオン酸,エノール酸ないし合剤の内服で発症した出血性大腸炎あるいはアフタ性腸炎で,薬剤中止後早期に消失した.②3例はカルボン酸,プロピオン酸ないしエノール酸系薬剤内服中に終末回腸のアフタ性病変ないし浮腫像を認め,薬剤の中止で改善した.③10例は酢酸系ないしプロピオン酸系薬剤の投与中に発見された単発性ないし正常粘膜が介在する多発潰瘍で,瘢痕を残して治癒し,1例では膜様の輪状狭窄に至っていた.以上より,NSAIDs起因性大腸病変は原因薬剤や臨床像から腸炎型と潰瘍型に分類可能で,後者は分類不能の潰瘍性病変や基礎疾患に関連した腸病変に含まれてきた可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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