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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

文献概要

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題 主題

非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)起因性腸炎の病理組織学的特徴と鑑別診断

著者: 八尾隆史1 松本主之2 飯田三雄3 蔵原晃一4 広田千治5 岩井啓一郎1 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院形態機能病理 2九州大学医学部光学医療診療部 3川崎医科大学消化器内科Ⅱ 4九州大学大学院病態機能内科 5新日鐵八幡記念病院消化器内科

ページ範囲:P.1159 - P.1167

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要旨 非ステロイド系抗炎症剤(non-steroidal anti-inflammatory drug;NSAID)起因性腸炎16例について,臨床像から潰瘍型(10例),大腸炎型(3例),終末回腸炎型(3例)に分類し,生検組織像の特徴を解析した.また,外科的に切除されたNSAID起因性小腸横隔膜症1例の組織像も併せて解析した.組織学的に,非特異性炎型(潰瘍型9例,終末回腸炎型3例),虚血性腸炎型(潰瘍型1例),出血性腸炎型(大腸炎型2例),好酸球性腸炎型(大腸炎型1例)に大別された.横隔膜症が非特異性炎型(潰瘍型)に1例含まれており,小腸横隔膜症との組織学的類似性より横隔膜症は潰瘍型の治癒過程における特殊型であると思われた.非特異性炎型では潰瘍周囲の粘膜上皮の障害と炎症の程度は軽度であるにもかかわらず核分裂やアポトーシス小体が散見されるという特徴的な像を呈し,潰瘍発生にアポトーシスが重要な役割を果たしていることが示唆された.各病理組織型とも基本的像は異なるが一部重複する部分もあり,それぞれの発生機序の違いとともにそれらの多様性も示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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