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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題

主題症例

偶然の再投与で再発したピリン系解熱鎮痛配合薬による出血性大腸潰瘍の1例

著者: 小堀陽一郎1 飯田三雄1 松本主之2 本多啓介1 黒木文敏1 末兼浩史1 武田昌治1 古賀秀樹1 水野充1 垂水研一1 本多俊裕1 清水香代子1 星加和徳1 三上芳喜3

所属機関: 1川崎医科大学消化器内科Ⅱ 2九州大学医学部光学医療診療部 3川崎医科大学病理

ページ範囲:P.1169 - P.1174

文献概要

要旨 患者は57歳,男性.23年前より慢性腎不全のため維持透析を受けていた.1997年2月より頭痛と関節痛が出現し,isopropylantipyrineとphenacetin含有解熱鎮痛剤を連日内服中,下血と著明な貧血を認め緊急入院となった.大腸内視鏡検査では盲腸に辺縁明瞭な不整形潰瘍と小潰瘍を認めた.生検では特異的な炎症像や腫瘍性変化は認められず,細菌学的検査でも腸管感染症は否定的であった.薬剤起因性大腸潰瘍を疑い内服を中止したところ,約4か月の経過で潰瘍は瘢痕化した.しかし,1年後関節痛のため同剤を内服中に,回盲弁近傍の潰瘍が再発し,薬剤の中止1か月後にはほぼ瘢痕化した.以上の経過から,本例における盲腸の潰瘍性病変は解熱鎮痛剤に起因した可能性が強く示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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