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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

文献概要

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題 主題症例

NSAIDs坐薬による直腸潰瘍の2例

著者: 中村志郎1 松本誉之1 飯室正樹1 稲川誠1 川島大地1 十河光枝1 藤井恭子1 神野良男1 山上博一1 佐々木伸一1 澤禎徳1 濱崎尚子1 原順一1 渡辺芳久1 押谷伸英1 荒川哲男1 大川清孝1 石黒信吾3 北野厚生4 野村勉5 谷口道代5

所属機関: 1大阪市立大学医学部第3内科 2大阪市立総合医療センター消化器内科 3大阪府立成人病センター病理検査科 4大阪市立住吉市民病院内科 5若草第一病院消化器内科

ページ範囲:P.1175 - P.1178

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要旨 NSAIDs坐薬による直腸潰瘍の2例を経験した.〔症例1〕は坐薬使用後9日目に少量の下血で発症し,直腸の中部下部に出血性びらん・表層性の不整形潰瘍が多発するAGML様の病変を認めた.〔症例2〕は坐薬開始後,次第に下痢を生じ,約7か月の間に貧血が進行し便潜血テストも陽性のため内視鏡が施行され直腸に狭窄を伴う慢性潰瘍が認められた.NSAIDs坐薬起因性の直腸潰瘍に関する報告はまれであるが,実際は内視鏡が施行されず診断されていない症例も多いと想定される.〔症例2〕の経験からNSAIDs坐薬使用の際はその後も注意深く経過観察し,下血がなくとも下痢や貧血の進行を認めた場合は迅速な直腸の内視鏡検査が必要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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