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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

今月の主題 薬剤性腸炎―最近の話題

主題症例

転移性肝癌に対して抗癌剤動注療法により惹起された広範囲な胃・十二指腸潰瘍の3症例

著者: 嶋田顕1 木村好孝1 幸田隆彦1 中町正俊1 石川祐輔1 田所賢也1 竹渕一宏1 鳴海章人1 平塚伸1 岡部真一郎1 山本亘1 佐藤温1 松川正明1 栗原稔1

所属機関: 1昭和大学附属豊洲病院消化器科

ページ範囲:P.1179 - P.1183

文献概要

要旨 〔症例1〕は41歳,男性.S状結腸癌肝転移術後.肝再発に対して肝動注リザーバーよりmitomycin-Cおよびスフェレックス(微小デンプン)を間歇動注したところ十二指腸球部から下行脚にかけて広範なA1 stageの縦走性潰瘍を認めた.プロトンポンプ阻害剤を8週間投与したがH1 stageまでの回復にとどまった.〔症例2〕は56歳,女性.盲腸癌肝転移に対して右半結腸切除術,肝動注リザーバー留置術施行.肝動注リザーバーより5-FUおよびcisplatinを間歇動注したところ十二指腸下行脚に広範で浅いA1stage潰瘍を認めた.〔症例3〕は58歳,男性.盲腸癌肝転移に対して右半結腸切除術,肝部分切除肝動注リザーバー留置術を施行.肝動注リザーバーより5-FUおよびmitomycin-Cを間歇動注したところ,胃前庭部後壁から十二指腸球部にかけて広範囲なびらん性変化を伴うA1stageの潰瘍を認めた.プロトンポンプ阻害剤を6週間投与したが,H2 stageまでの回復にとどまった.抗癌剤による潰瘍の特徴としては,①潰瘍範囲が広区域で,②急激な変化で潰瘍面を形成し,③治癒段階では潰瘍の中心部は肉芽性の変化が強く,また,④治癒段階では潰瘍周囲面での再生上皮性の変化に乏しかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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