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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻9号

2000年08月発行

文献概要

症例

虚血性腸炎を繰り返したSLE(systemic lupus erythematosus)の1例

著者: 小林和也1 中川浩一1 大江新野1 橋本雅明1 三船啓文2 大石正博3 八木孝仁3 肥田和之4 小田原正浩4 山崎康司4

所属機関: 1福山第一病院外科 2福山第一病院放射線科 3岡山大学医学部第1外科学教室 4岡山大学医学部第3内科学教室

ページ範囲:P.1215 - P.1220

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要旨 患者は54歳,女性.1年前より腹痛発作を繰り返していたが,1998年4月7日高度の腹痛が出現し当院受診.腹部CTにて高度腹水貯溜と小腸の高度の全周性浮腫像を認めたため緊急開腹を施行した.開腹時所見では,Treitz靭帯から約50cmの部分より220cmの長さにわたり著明な腸管の充血および腫脹を認めたが,穿孔および狭窄はなく腸切除は行わなかった.血清学的に抗核抗体強陽性,低補体価,抗二本鎖DNA抗体高値,白血球減少,日光過敏症よりSLE(systemic lupus erythematosus>と診断した.術後経過は良好であったため,ステロイド投与をせずに経過観察していたが,5月9日,突然腹痛を訴えたため,腹部CTおよび注腸X線を施行し,下腸間膜動脈灌流領域の虚血性大腸炎と診断された.SLEに伴う虚血性腸炎の合併は比較的まれであるが,一般的な虚血性腸炎とは発生部位・経過が異なることより,SLEの病態と直接関連したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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