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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻1号

2001年01月発行

今月の主題 表層型胃悪性リンパ腫の鑑別診断―治療法選択のために

主題

胃悪性リンパ腫の病理学的診断法と問題点

著者: 八尾隆史1 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院形態機能病理

ページ範囲:P.21 - P.27

文献概要

要旨 悪性リンパ腫の生検診断においては,組織が小さいことや挫滅などのアーチファクトなどにより組織構築の判断が困難なことがある.反応性リンパ濾胞の胚中心はCD10(+),bcl-2(-),Ki-67(+)であり,これらを用いた染色で胚中心を同定し,それ以外の部位でのリンパ球系細胞のマーカーによるT,B細胞の分布を参考にして組織構築を把握し,異型リンパ球の分布や細胞異型度をH・E標本で判定することが重要である.そして,リンパ球様細胞が増殖した像を認めた場合,それらの細胞が比較的大型である場合にはサイトケラチンによる未分化癌の鑑別が,細胞が比較的小型の場合はcyclin D1によるマントル細胞リンパ腫の鑑別が必要である.また,Ki-67は悪性度判定の指標としても有用である.PCR法によるIgH再構成は必ずしもリンパ腫すべてにおいて陽性に検出されるわけでなく胃炎でも検出される場合があり,またp53遺伝子異常はリンパ腫では低率であるので,それらは診断の補助的手法としては有用であるがその評価には注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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