今月の主題 表層型胃悪性リンパ腫の鑑別診断―治療法選択のために
主題
表層型胃悪性リンパ腫のX線診断―早期胃癌との鑑別について
著者:
杉野吉則1
今井裕1
布袋伸一1
鈴木和代1
栗林幸夫1
向井万起男2
一色聡一郎3
大谷吉秀3
久保田哲朗3
北島政樹3
熊井浩一郎4
日比紀文5
岩男泰6
所属機関:
1慶應義塾大学医学部放射線診断科
2慶應義塾大学医学部病理診断部
3慶應義塾大学医学部消化器一般外科
4慶應義塾大学医学部内視鏡センター
5慶應義塾大学医学部消化器内科
6慶應がんセンター
ページ範囲:P.29 - P.39
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要旨 表層型胃悪性リンパ腫切除例15例およびMALTリンパ腫としてHelicobacter pylori除菌が行われ経過観察中の3例,計18例について早期胃癌との鑑別を中心にX線像を検討した.従来から指摘されている表層型悪性リンパ腫の所見として,顆粒状粘膜が89%,輪郭が不明瞭な表面陥凹が89%,粘膜ひだの肥厚が56%,多発潰瘍(瘢痕)が61%に認められた.更に,今回より特徴的な所見としてとりあげた点状の陰影斑が89%に,不整な線状陰影(互いにつながると不整な網状を呈する)が72%に明らかに認められた.不整な線状陰影は残りの28%にもやや不明瞭であるが認められた.以上の所見をX線で描出し,詳細に読影することによって,表層型悪性リンパ腫は確診可能と考えられる.