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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻1号

2001年01月発行

今月の主題 表層型胃悪性リンパ腫の鑑別診断―治療法選択のために

主題症例

初回X線検査でⅡc型早期癌と診断された胃MALTリンパ腫の1例

著者: 大浦通久1 細井董三1 岡田利邦1 山田耕三1 中井呈子1 入口陽介1 中橋栄太1 中村尚志1 宇野昭毅1 小田丈二1 益満博1 斎藤雄介1 山村彰彦2

所属機関: 1多摩がん検診センター消化器科 2多摩がん検診センター病理

ページ範囲:P.81 - P.85

文献概要

要旨 患者は62歳,女性.当センターの間接胃集検にて,胃角部前壁にひだの集中・中断と内部に顆粒状変化を伴った不整形の陥凹性病変を指摘され,未分化型早期癌の診断にて要精密検査となった.内視鏡検査および精密X線検査では,病変は白苔を伴った溝状のびらんと,それに囲まれた比較的均一な,丸味を帯びた顆粒状変化からなり,MALTリンパ腫と診断した.生検診断もMALT lymphoma,compatibleであり,遺伝子検索でも免疫グロブリン重鎖の遺伝子再構成が認められた.以上より,胃MALTリンパ腫と最終診断し,H. pyloriの除菌治療を行った.その結果内視鏡所見は軽快し,生検でMALTリンパ腫の組織所見は消失したため,現在経過観察中である.表層型胃悪性リンパ腫は,萎縮性胃炎から胃癌まで様々な疾患との鑑別が問題となり,初回検査時の臨床診断は約5割がⅡC病変,多発びらん・潰瘍,萎縮性胃炎などとなっており,臨床上つねに表層型悪性リンパ腫を念頭に置くことが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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