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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻1号

2001年01月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

急性胃粘膜病変との画像的鑑別に苦慮した4型胃癌の1症例

著者: 箱崎幸也1 清家英二1 岩本淳一1 三谷圭二1 下屋正則1 峯雅文1 小林正彦1 大庭健一1 白浜龍興1 酒井優2 松熊晋2 桑原紀之2

所属機関: 1自衛隊中央病院内科 2自衛隊中央病院病理

ページ範囲:P.103 - P.109

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要旨 患者は,58歳,男性.上腹部痛を主訴に来院し,胃内視鏡検査にて幽門前庭部の多発する不整形のびらん/潰瘍性病変を認めた.胃内視鏡像では,典型的な急性胃粘膜病変と考えられたが,特殊胃炎(胃梅毒,Crohn病)を疑い胃生検を施行した.病理診断にて,低分化腺癌と診断された.術前精査で癌浸潤は幽門前庭部から体上部までと判断し,胃全摘術が施行された.病理組織学的所見には,幽門前庭部から体下部までは壁の肥厚(特に粘膜下層)を伴う癌細胞浸潤〔se(+),aw(+)〕がみられたが(深部浸潤型),体中部から噴門部にかけては線維性増殖はほとんどなく主に粘膜筋板直下での広範な癌細胞浸潤(表層拡大浸潤型)を認めた4型胃癌であった.急性胃粘膜病変との鑑別や癌浸潤範囲同定に難渋した4型胃癌症例を経験したので,病理組織学的検討も加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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