icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻10号

2001年09月発行

今月の主題 縮小治療のための胃癌の粘膜内浸潤範囲診断

主題症例

癌粘膜内進展範囲の診断に難渋した早期胃癌の1例

著者: 長浜隆司1 中島寛隆1 八巻悟郎1 仲谷弘明1 松本悟1 大村秀俊1 志賀俊明1 野本一夫1 大倉康男2

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器科 2埼玉県立がんセンター臨床病理部

ページ範囲:P.1295 - P.1302

文献概要

要旨 患者は54歳,男性.1996年7月,胃集団検診にて前庭部の透亮像を指摘され当センターを受診した.胃内視鏡では前庭部にびらん性変化が認められたが,生検では悪性所見は認められず,以後逐年で内視鏡での経過観察を行っていた.2000年6月の内視鏡検査で体中部後壁に褪色調の粘膜不整像を認め,生検にて印環細胞癌と診断された.胃X線検査では体部後壁を中心に不整なバリウム斑と顆粒像とを認めた.精査の胃内視鏡では体中部後壁に,通常観察ではやや褪色調のほぼ平坦な粘膜不整像を認め,色素撒布像では色素をはじく局面として認められた.以上の所見から0Ⅱc,T1(M)の未分化型癌と診断した.病理組織学的には,Type OⅡc,pT1(SM2),大きさ9.0×7.5cmであり,組織型signet-ring cell carcinoma,INFγ,ly2,vO,pN0と診断された.病変は術前に診断した癌進展範囲よりも広く,非癌粘膜に被覆され粘膜固有層内を癌が進展した部分が認められた.術前の癌粘膜内進展範囲の決定が困難であった早期胃癌症例について,術後の臨床病理学的検討を含めて報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら