icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻10号

2001年09月発行

消化管病理基礎講座

消化管疾患の肉眼所見に関する用語

著者: 中島寛隆1 大倉康男2

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器科 2埼玉県立がんセンター臨床病理部

ページ範囲:P.1303 - P.1306

文献概要

蚕食像または虫食い像

 陥凹型胃癌でみられる陥凹境界の凹凸不整像は,その形態が蚕に食べられた桑の葉に類似していることから,蚕食像または虫食い像と表現される.胃小区の破壊傾向が強い未分化型癌で多く認める所見で,肉眼的には蚕食像で縁取られる陥凹内部が,癌の粘膜進展範囲であるとされる.

 Fig. 1は0Ⅱc,pT1(M)の印環細胞癌の切除標本肉眼像である.癌部と非癌部が接する境界線の胃小区輪郭が,蚕食像を形成している1).Fig. 2は陥凹境界部の組織像である.陥凹部では,印環細胞癌が粘膜表面に露出し,正常の粘膜構造が破壊されている.一方,非癌部分には腺窩上皮,胃底腺で構成される正常粘膜構造が認められる.このため,癌部と非癌部の間には粘膜面に高低差が生じ,陥凹境界が形成される.組織学的には,印環細胞癌は段差の境界よりわずかに広く進展している.しかし癌細胞が腺頸部で広がり,腺窩上皮の破壊がみられないために,肉眼的には蚕食像で形成される陥凹境界線が,癌の粘膜内進展の境界であると認識される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら