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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻10号

2001年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

Vimentin陽性胃癌の1例

著者: 服部昌和1 海崎泰治2 細川治1 前田重信1 道傳研司1 林裕之1 渡辺国重1 福田和則3

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県立病院病理 3武生市福田胃腸科外科

ページ範囲:P.1321 - P.1326

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要旨 患者は32歳,女性.胃上部大彎に,中心に深い潰瘍を有し,なだらかな立ち上がりの馬蹄型隆起を主体とする病変を見い出した.隆起の表面はイクラ状を呈していた.生検にて低分化型腺癌と診断された.胃全摘,膵・脾合併切除術を施行したが,大動脈周囲リンパ節にも転移を認めた.切除標本にて腫瘍は最大径11.8cm,肉眼分類上5型癌であり,組織学的には腺管構造を認めず,胞体成分の乏しい異型細胞が充実性に増殖し,胃壁全層に浸潤していた.免疫組織学的検索ではvimentinとcytokeratinが陽性であり,両者陽性の低分化型腺癌と判断した.術後約1か月後には多発肝転移が出現,その後も腹腔内を中心とした広範なリンパ節転移,癌性腹膜炎を来し,診断から約10か月後に死亡した.vimentin陽性胃癌は,より未成熟な細胞レベルでの癌化と推察され,生物学的悪性度が極めて高いと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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