今月の主題 sm massive以深に浸潤した10mm以下の大腸癌
主題
sm massive以深に浸潤した10mm以下の大腸癌の分子病理学的特徴
著者:
藤井茂彦12
藤盛孝博1
西正孝1
甲斐原司1
日下利広13
安藤正夫3
堀公行4
佐野寧5
藤井隆広6
千葉勉2
長廻紘7
加藤洋8
所属機関:
1獨協医科大学病理学(人体分子)
2京都大学消化器病態学
3JR仙台病院消化器内視鏡センター
4堀胃腸科外科
5国立がんセンター東病院内視鏡部
6国立がんセンター中央病院内視鏡部
7群馬県立がんセンター
8癌研究会癌研究所病理部
ページ範囲:P.1363 - P.1370
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要旨 内視鏡的,外科的に切除された大腸sm massive癌70症例とmp癌51症例について,腫瘍径から10mm以下,11mm以上20mm以下,21mm以上の3群に分類し,増殖様式,adenoma componentの有無,K-ras変異の有無,p53,β-catenin,E-cadherinの免疫組織学的発現パターンについて解析し,10mm以下のsm massive以深に浸潤した大腸癌の分子病理学的特徴を検討した.腫瘍径10mm以下のsm massive癌とmp癌は,ともにnon-protruded typeの増殖様式を示す病変が多く,adenoma componentを伴う頻度は低かった.また,K-ras変異は低頻度であり,β-catenin,E-cadherinの細胞膜への局在が消失した病変を多く認め,21mm以上の病変とは異なった特性を示した.よって10mm以下のsm massive癌は水平方向への進展より垂直方向に浸潤する性質を持ち10mm前後の進行癌になると思われた.