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今月の主題 十二指腸の小病変 序説
十二指腸病学確立の序章
著者: 小池盛雄1
所属機関: 1東京医科歯科大学病因・病理学
ページ範囲:P.1467 - P.1467
文献購入ページに移動 およそ35年前,病理の勉強を始めたころに極めて印象的な言葉を聞いたことを思い出す.当時,感染症の診療に先端的役割を果たしていた駒込病院の病理医渡辺豊輔先生が東京病理集談会という病理の学会で“小腸は暗黒大陸である”という言葉を使っていた.これは渡辺先生の造語ではなく,院長が使った言葉であると紹介していた.当時の発表の内容の記憶は定かでないが,ほとんど病理解剖例を基本にしたものであったと記憶している.それでも,小腸絨毛構造が鮮明に認識できるきれいな標本で,絨毛の短縮や癒合などが,種々の感染症を中心として提示されており,当時の病理解剖の質が高かったことが証明されている.
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