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今月の主題 十二指腸の小病変 主題
十二指腸粘膜の特異性と小病変の病理―特に腫瘍および腫瘍様病変について
著者: 原岡誠司1 岩下明徳1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理
ページ範囲:P.1469 - P.1480
文献購入ページに移動要旨 十二指腸の解剖学的・組織学的特徴と該部にみられる小病変,特に小腫瘍および腫瘍様病変の臨床病理像について,病理形態学的立場から,自験例を中心に文献的考察を加えながら概説した.十二指腸は,解剖学的に腹膜後器官として固定され,組織学的には,空腸・回腸と比較し,腸絨毛が発達し粘液腺や腸内分泌細胞に富む特徴を有する.特に粘液腺が粘膜のみならず粘膜下層に豊富に分布するという他の消化管にはみられない特異性を示す.それらの特徴を背景として,非腫瘍性病変としては,異所性胃粘膜(74.5%),アミロイドーシス(4.4%),Brunner腺過形成(2.5%)などが,腫瘍性病変としては,腺腫(8.5%),カルチノイド(2.9%),腺癌(2.2%)などが比較的高頻度に認められた.病変はカルチノイドや平滑筋腫などの腫瘍性病変も含めて,粘膜下腫瘍の形態を呈するものが比較的多く,各々の臨床病理学的特徴を理解した上での臨床検査および治療が重要と考えられる.
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