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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻13号

2001年12月発行

今月の主題 早期胃癌診療の実態と問題点

主題

早期胃癌の術前診断(EMR適応病変を中心に)―内視鏡の立場から

著者: 田辺聡1 大井田正人1 三富弘之2 柳沢信之2 樋口勝彦1 中山昇典1 村上秩1 田原久美子1 北村匡1 渡辺摩也1 中井久雄1 今泉弘1 木田芳樹1 木田光広1 小泉和三郎1 三橋利温1 西元寺克禮1

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2北里大学東病院病理

ページ範囲:P.1615 - P.1624

文献概要

要旨 根治を目的にEMRを施行した149例,155病変を対象とし,EMRを施行する場合の術前診断の現状と問題点について検討した,隆起型78病変,平坦・陥凹型77病変とほぼ同数であった.X線により発見された病変は26病変(16.8%),内視鏡で発見された病変は129病変(83.2%)であった.術前の範囲診断では,隆起型の誤診例はなく,平坦・陥凹型の2例に誤診例がみられた.深達度の正診率は,隆起型93.6%,平坦・陥凹型89.6%であった.深達度別の正診率は,m癌97.2%,sm癌37.5%(隆起型50%,平坦・陥凹型30%)であった.同時性多発胃癌は9例(6.0%)にみられ,9例中7例(77.8%)は2病変ともに隆起型の癌であった,異時性多発胃癌は8例(5.4%)にみられ,8例中5例(62.5%)は,2年以内に発見されていた.遺残・再発は4例(2.7%)にみられた,EMR前の範囲診断では,正診2例,誤診2例(境界が不明瞭な病変1例,胃角後壁に病変が存在し観察が不十分1例)であった.EMRが可能な病変の拾い上げ診断には,特に平坦・陥凹型の病変についてはX線検査のみでは限界があり内視鏡の併用が必要と考えられた.EMRを前提とした術前診断では,色素法を用いた詳細な観察が重要であり,境界が不明瞭な病変にはステップバイオプシーの併用も有用である.sm微小浸潤(sm1)については内視鏡診断の限界と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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