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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻13号

2001年12月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

短期間にⅠs型からⅡa+Ⅱc型へと肉眼形態が変化したS状結腸sm癌の1例

著者: 泉信一1 野村昌史1 河上洋1 小泉一也1 潟沼朗生1 高橋邦幸1 後藤充1 吉田暁正1 渡辺晴司1 三井慎也1 辻邦彦1 伊藤英人1 林毅1 吉田晴恒1 姜貞憲1 桜井康雄1 越川均1 真口宏介1 篠原敏也2

所属機関: 1手稲渓仁会病院消化器病センター 2手稲渓仁会病院病理

ページ範囲:P.1677 - P.1682

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要旨 患者は49歳,女性大腸癌検診で便潜血反応陽性を指摘され,当センター外来を受診した.大腸内視鏡検査を施行したところS状結腸に大きさ約10mmのⅠs型癌を認め,形態からsm深部浸潤により隆起が形成された病変と診断した.30日後に施行した大腸内視鏡検査では,同病変は類円形の平坦な病変となり,病変中央の隆起は消失していた.隆起が消失した部分には白苔を伴った不整形の浅い陥凹とわずかな陥凹内隆起を認め,これらの内視鏡所見から病変はsmに深部浸潤したⅡa+Ⅱc型癌と診断した.注腸X線検査では,病変は大きさ10mmの辺縁平滑な類円形病変として描出され,中央には不整形の浅い陥凹と陥凹内隆起を示す透亮像を認めた.側面像ではゆるやかな弧状変形がみられた.超音波細径プローブ所見を加味し,病変は中央部分でsmに深部浸潤したⅡa+Ⅱc型癌と最終診断した.腹腔鏡補助下にS状結腸切除術を施行した.病理組織学的には大きさ8mmの類円形を呈する陥凹性病変で,中央の陥凹内隆起部分で深達度sm3まで浸潤した高分化腺癌であった.病変の立ち上がり部分は正常粘膜で被覆されていた.大腸癌の発育進展を考えるうえで興味ある症例と思われ報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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