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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻2号

2001年02月発行

文献概要

今月の症例

pit pattern診断が深達度診断に有用であった側方発育型腫瘍(非顆粒型)の1例

著者: 石川恵子1 工藤進英12 為我井芳郎1 山野泰穂1 今井靖1 田村知之1 木暮悦子1 孟尼麗1 松田知己1 関口恭弘1 成澤亜古1 富松英人1 中原貴子1 西岡千晴1 森田圭紀1

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター 2昭和大学医学部横浜市北部病院消化器センター

ページ範囲:P.122 - P.124

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 〔患者〕 54歳,男性.検診で便潜血反応陽性を指摘され,近医にて全大腸内視鏡検査を施行.S状結腸に病変を指摘され,4か所生検を施行(いずれもGroup 3,生検部位は不明).精査加療目的に当センターを受診した.来院時の身体所見,検査成績ともに異常を認めなかった.

 〔大腸内視鏡所見〕 通常観察では,S状結腸に結節,顆粒を伴わないごくわずかに隆起した病変として認識された(Fig. 1a).色調は周囲と変わらず,辺縁には易出血を認めた.色素を撒布することにより病変の範囲が明瞭となり,辺縁には側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;以下LST)非顆粒型の特徴の1つである花弁様はみだし構造が観察された(Fig. 1b).その対側に向かってひだ集中様所見を認め,この所見は伸展した状態でも観察された.通常観察のみでは生検の影響かsm浸潤によるものかの判断は困難であった.辺縁の花弁様形態を呈する部分の拡大観察像は,正常腺管と管状腺管の混在したⅢL-2型pit patternであった(Fig. 1c).病変の中央には周囲の編み目状の色素の溜まりとは異なる表面平滑な領域を認め,その拡大観察像は,密度の高い不整なⅢL型pit pattern,すなわちⅤA型pit patternであった(Fig. 1d).中央のⅤA型から連続してⅤN型(無構造)を呈する領域が存在し(Fig. 1e),その部分がひだ集中様所見の集中点と一致することから,sm浸潤によってひだの集中を来しているものと判断した.以上よりLST非顆粒型のsm深部浸潤癌と判断した.念のためnon-lifting sign陽性を確認した後,S状結腸切除術を施行した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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