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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻2号

2001年02月発行

今月の主題 Crohn病診断基準の問題点

主題

Crohn病の診断基準―欧米の基準と本邦の基準(案)の問題点

著者: 八尾恒良1 八尾建史1 真武弘明1 久部高司1 櫻井俊弘1 松井敏幸1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.127 - P.133

文献概要

要旨 Crohn病(CD)の適切な診断基準を検討するために,欧米の診断基準が記載されている文献8編を調べその問題点を指摘し,本邦の診断基準(案)の問題点にも考察を加えた.その要点は以下のとおりであった.(1)欧米の診断基準はその多くが,①臨床症状,②X線,内視鏡所見,③手術時肉眼所見,④病理組織所見より成り立っていた.(2)自験単純性潰瘍10例を欧米の診断基準に当てはめてみると全例がCD確診例となった.その原因は欧米の診断学の基準に非特異的な臨床症状が取り上げられていること,CDに特徴的な縦走潰瘍などのX線,内視鏡所見が取り上げられていないことなどであった.逆にアフタ様潰瘍のみから成るCDの多くは欧米の基準を満足しなかった.(3)本邦の診断基準(案)のうちアフタのみのCDの診断基準(案)は除外規定を設けて再考されるべきである.また,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫についての病態が再検討されねばならない.またindeterminate colitisの実態を明らかにするには直腸に連続性びまん性病変を有するCDの病態を検討する必要がある.(4)欧米と異なり,X線,内視鏡検査が普遍的に行われている本邦では,形態診断のレベルを上げることが正確な診断基準の確立につながると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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