今月の主題 Crohn病診断基準の問題点
主題症例
輪状潰瘍の合併を認めた小腸Crohn病の1例
著者:
中野浩1
中村正克1
伊東逸朗1
三沢美帆1
松浦良徳1
長坂光夫1
斎藤知規1
鈴木一男1
宇野浩之1
外間政希1
神谷雅人1
保原怜子1
高濱和也1
渡邊真1
花井恒一2
宮川秀一2
黒田誠3
所属機関:
1藤田保健衛生大学消化器内科
2藤田保健衛生大学消化器外科
3藤田保健衛生大学病理科
ページ範囲:P.217 - P.222
文献購入ページに移動
要旨 患者は36歳,男性で腹部疝痛で来院し,イレウスの診断で入院した.小腸X線検査で回腸に2か所の狭窄を認め,この狭窄の間にも輪状潰瘍の変形を認めた.狭窄は短く,対称性で,始めに腸結核も疑った.しかし,肛門側の狭窄には片側性の所見もあり術前診断はCrohn病であった.切除標本では肛門側の狭窄部には縦走潰瘍とcobblestone像が認められた.そして,その口側の拡張した腸管の部位には輪状潰瘍が認められた.そして,最も口側の狭窄部には地図状潰瘍が認められた.病理組織学的にはCrohn病と診断されたが輪状潰瘍,地図状潰瘍,拡張した腸管部の萎縮瘢痕帯の所見は新しいCrohn病の診断基準に当てはまらない所見であった.