icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻2号

2001年02月発行

文献概要

消化管病理基礎講座

腫瘍の組織所見に関する用語(3)

著者: 遠藤泰志1 本山悌一1

所属機関: 1山形大学医学部病理学第2講座

ページ範囲:P.230 - P.232

文献購入ページに移動
 髄様癌

 髄様癌(medullary carcinoma)は,現在の胃癌取扱い規約で低分化充実型腺癌(por1)として扱われている.腺管構造の形成は失われいるか極めて乏しく,細胞密度は高く間質成分は少ない.癌細胞はシート状に拡がるか大小癌胞巣の集合として発育・増殖し,充実性・膨張性発育をする(Fig. 1).髄様癌の多くは分化型腺癌に由来し,低分化非充実型腺癌(por2)・印環細胞癌(sig)由来のものはまれである1).肉眼的には深掘れ傾向が強く,幅の薄い円形~卵円形の周堤を持つ2型か,表面に厚い白苔を伴った1型を呈する.リンパ球浸潤性髄様癌(medullary carcinoma with lymphoid stroma)も髄様癌として扱われているが,癌組織だけに注目すれば小~中癌胞巣が比較的散在性に拡がっている.しかし線維性間質を伴うことなく,リンパ球・形質細胞がびっしりと癌組織隙間を埋めている.この種の癌のみ例外的に癌組織とリンパ球・形質細胞を一括した組織像をもって髄様癌に分類されている.小細胞癌(内分泌細胞癌)や肝細胞様腺癌(AFP産生腺癌)も明らかな腺管構造を有することなく充実性発育を示すが,これらは生物学的悪性度が極めて高く予後不良であり,病理組織学的に単なる髄様癌とは区別されなくてはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?