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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻3号

2001年02月発行

文献概要

特集 消化管癌の深達度診断 各論 1.食道癌の深達度診断

2)内視鏡像からみた深達度診断

著者: 吉田操1 門馬久美子2 葉梨智子1 出江洋介1 榊信廣3 加藤久人3 山田義也3 小澤広3 荒川丈夫2 大橋健一4 船田信顕4

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院内視鏡科 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.295 - P.306

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要旨 食道扁平上皮癌のリンパ節転移頻度は癌の壁深達度と相関し,癌浸潤が粘膜固有層(m2)にとどまる限りリンパ節転移は極めてまれで,治療計画にリンパ節転移を考慮しないでよい.浸潤が粘膜筋板(m3)を越え粘膜下層(sm)に浸潤するとリンパ節転移を生じ,治療計画にこれを考慮しなくてはならない.m2までの症例には内視鏡的粘膜切除術が,またm3以上の症例には原則的に根治手術が適応になる.深達度診断の重要性はここにある.深達度診断は病型の判断が基礎になる.0-Ⅰ型の92%,0-Ⅲ型病変の96%は粘膜下層に中程度以上浸潤している.0-Ⅱb型の場合は圧倒的に上皮内(m1)癌が多く,一部にm2がある.0-Ⅱa型と0-Ⅱc型病変の場合は深達度診断を行う必要性がある.0-Ⅱa型の場合は隆起の程度,顆粒の大きさが深達度を推定する手がかりとなる.隆起が低く,細顆粒はm1,顆粒はm2,粗大顆粒はm3以上を示唆する.m3・sm1では食道壁の伸展に伴う変形がある.0-Ⅱc型では陥凹の程度,表面の顆粒,陥凹の中の隆起や一段深い陥凹,辺縁の隆起成分に注目し,これと二重染色所見を組み合わせて判断する.m3やsm1癌の場合は深達度だけでなく脈管侵襲やリンパ節転移を起こしやすいものを鑑別する必要がある.深達度診断の正診率は,m2までの病変で93%,m3・sm1で60%,sm2・sm3で71%,表在癌全体で81%である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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