文献詳細
特集 消化管癌の深達度診断
各論 2.胃癌の深達度診断
文献概要
要旨 胃癌の内視鏡的な深達度診断の精度は著しく向上したが,いまだ十分とは言い難い.胃癌の内視鏡深達度診断について概説した.隆起型では一般的に進行癌は少ないが,壁の硬化像や粘膜下膨隆像,表面のびらん像などがsm以深の癌を疑う根拠となる.陥凹型早期胃癌の基本形はⅡcであり,潰瘍性変化を伴う場合と,伴わない場合の二者に分けて考える.深達度指標として,①陥凹面の色調,②ひだの所見,③壁の厚み・硬化像,④陥凹面の構造,⑤辺縁の隆起・膨隆像,⑥病変の大きさ,が挙げられる.現時点での筆者らのprospectiveな診断精度について評価を加えたところ,sm癌を正しくsm癌と診断できたものは66%にすぎず,特に不良であった.直感的な診断のみに頼らず,診断可能な指標を正しく再確認しながら着実に診断を進める態度が不可欠である.
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