特集 消化管癌の深達度診断
各論 3.大腸癌の深達度診断
2)内視鏡像からみた深達度診断②
著者:
為我井芳郎1
工藤進英1
木暮悦子1
松田知巳2
山野泰穂3
今井靖3
日下尚志3
作左部大3
鈴木雅雄3
前田聡3
工藤由比1
原栄志1
小幡まこと1
梅里和哉1
工藤智洋3
池原伸直1
高見啓央3
大須賀達也3
竹内司1
杉安保宣1
渡辺秀考3
所属機関:
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
2新潟大学医学部第1病理
3秋田赤十字病院胃腸センター
ページ範囲:P.379 - P.391
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要旨 大腸早期癌の肉眼型とpit patternとの関連ではⅢs型pitは陥凹型に,またⅢL型pitは隆起型と平坦隆起型,およびLSTに,そしてⅣ型pitは隆起型と関連し,その組織学的特徴を反映した.また,V型pitはVA(amorphism)型とVN(non-structure)型に分けられ,病理組織所見における腫瘍腺管の構造異型や癌浸潤層の露出,異常間質の出現と関連し,主としてVA型pitはm・sm1癌に,VN型はsm2・3癌に対応した.更に,sm癌とmp癌の比較の結果,mp癌では有意にpit様構造は疎となり,また陥凹辺縁隆起においてVN型pitを呈する逆浸潤像が出現し陥凹境界線は断裂・複雑化した.以上から,大腸癌の診断学は通常観察から拡大内視鏡・pit pattern診断に至る一連の動的診断プロセスによって,病理組織診断に近い質的診断と深達度診断が可能となり,より適正な治療を選択できる段階へと発展したと考えられた.