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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻3号

2001年02月発行

文献概要

特集 消化管癌の深達度診断 各論 3.大腸癌の深達度診断

3)超音波内視鏡像からみた早期大腸癌の深達度診断と問題点

著者: 菊池陽介1 津田純郎1 頼岡誠1 櫻井俊弘1 松井敏幸1 八尾恒良1 岩下明徳2 帆足俊男3 和田陽子3 小林広幸3 渕上忠彦4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3済生会二日市病院胃腸科 4松山赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.392 - P.402

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要旨 超音波内視鏡による早期大腸癌の深達度診断について基礎的事項と深達度診断能について概説した.基礎的事項では,使用機種,走査方法,深達度の評価法を取り上げた.深達度診断能の項ではその実際と問題点をわれわれの施設の成績(対象236病変)をもとに検討した.その結果,以下の知見を得た.①sm細分類に基づく深達度別正診率はm癌78%,sm1癌17%,sm2癌27%,sm3癌57%,全体で61%であった.②EMRの適応と考えられるm・sm1と適応外のsm2,3の2群に分けた場合の深達度別正診率はそれぞれ81%,73%であった.部位別,肉眼型別に分けた深達度正診率に差はなかった.③sm癌の内視鏡治療拡大を行う上での指標としてEUSでの浸潤絶対値の測定が可能か否かを知るため,EUS画像上と病理標本上で計測したsm浸潤値を対比した.しかし,両実測値の間には大きな隔たりを認めた.④超音波専用機と超音波プローブの診断能は,m,sm1の病変で超音波プローブが優れていた.⑤内視鏡診断に対するEUSの役割を,内視鏡診断に迷わなかった病変と迷った病変に分けて検討したところ,内視鏡診断に迷わなかった場合は,EUSを必ずしも必要としなかった.一方,内視鏡診断に迷った病変に対するEUS正診率は63%であった.⑥EUSの誤診理由は超音波画像の描出不良が最大の要因であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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