特集 消化管癌の深達度診断
主題症例 それぞれの検査・診断法が,深達度診断に特に有用であった症例
三次元超音波内視鏡が深達度診断に有用であったsm小浸潤胃癌の1例
著者:
木田光広1
渡辺摩也1
菊地秀彦1
中山昇典1
竹澤三代子1
荒木正雄1
白須恭子1
山崎好喜1
国東幹夫1
木田芳樹1
田辺聡1
山田至人1
坂口哲章1
小泉和三郎1
三橋利温1
大井田正人1
西元寺克禮1
向山勲2
星野弘樹2
菊池史郎2
嶋尾仁2
三富弘之3
所属機関:
1北里大学大学東病院消化器内科
2北里大学大学東病院外科
3北里大学大学東病院病理
ページ範囲:P.445 - P.450
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要旨 今回われわれは,治療法の選択に術前精査としての三次元超音波内視鏡が有用であった早期sm胃癌の1例を経験したので報告した.患者は,54歳,男性.人間ドックの上部消化管造影検査で前庭部の浅い陥凹を指摘され来院した.内視鏡検査でも同様に約1cm大の不整形の発赤する伸展良好な浅い陥凹性病変が認められ,粘膜切除術を含めた治療法の選択が考慮されていたが,三次元超音波内視鏡により第3層のわずかな狭小化所見を認めsm浸潤が疑われ,幽門側胃切除術およびリンパ節郭清術D2が施行された.病理組織学的検討では,三次元超音波内視鏡が指摘した部位に576μmの浸潤が認められた.当院におけて三次元超音波内視鏡を術前施行した148例の深達度診断正診率は,全体で85.1%(126/148)であり,特にm,sm癌の成績が93.2%,81.4%と良好であった.更に,sm浸潤度別の成績では三次元超音波内視鏡は,500μmを超える群より80%を超える成績が得られており,粘膜切除術前の検査として有用と考えられた.