icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻3号

2001年02月発行

文献概要

特集 消化管癌の深達度診断 主題症例 深達度診断の限界を示した症例

EUSで浸潤部の読影が困難であった大腸鋸歯状腺腫由来のsm2浸潤癌の1例

著者: 清水誠治1 木本邦彦1 奥山祐右2 菅田信之2

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2京都第一赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.479 - P.483

文献購入ページに移動
要旨 患者は便潜血陽性精査のために大腸内視鏡を行った41歳,男性で,S状結腸に有茎性および亜有茎性の2個のポリープが近接して認められた.いずれも絨毛状の表面性状を有し大きさは10mmくらいであったが,亜有茎性病変では表面に不明瞭な陥凹を伴い周辺部に小結節状の隆起がみられsm浸潤癌が疑われた.確認のために細径超音波プローブで観察したところ,第3層内にのびる比較的低エコーの領域が認められたものの良好な描出は得られなかった.結局,局注で病変の十分な挙上がみられたためtotal biopsyの目的でEMRを施行した.組織は有茎性病変が鋸歯状腺腫であり,亜有茎性病変は鋸歯状腺腫由来のsm2浸潤癌であり高度の間質反応を伴う中分化腺癌の浸潤がみられた.本例ではEUSが効果的であったとは言えないが,1つの描出パターンとして認識すればEUSの診断能を更に向上することができると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?