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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻4号

2001年03月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎診断基準の問題点 主題

区域性・非連続性病変を呈する潰瘍性大腸炎の臨床的検討

著者: 平田一郎1 年名謙1 村野実之1 新田昌稔1 前村憲太郎1 西川貴士1 森田英次郎1 浜本順博1 勝健一1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.525 - P.533

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要旨 従来のUC診断基準の概念を再考するために,UC186例の中から非連続性病変を呈する非典型例を抽出し,これら症例の臨床的特徴を検討した.治療や経過の影響により直腸が一見正常に見えたり病変が区域性であったものは24例(12.9%)あった.右側あるいは区域性大腸炎は7例(3.8%)で,女性に多く,いずれも直腸に病変がなかった.これら症例の約70%は約3年の間に直腸に典型的なUCの炎症像を有するようになった.虫垂開口部周囲に非連続性病変を呈する症例は16例(主病変が肝彎曲部までにとどまる例の15.4%)で,男性に多かった.同病変は発赤,小びらんなどで発症早期から認められたもの10例,経過の途中から認められたもの6例であった.同病変の約63%は治療により消失し,病変が肛側に広範進展した例はなかった.発症早期に直腸に非びまん性の斑状発赤を呈し感染性腸炎との鑑別が困難な症例は4例(2.2%)あった.これらは若年発症例で,早期にUCの治療を行った2例は病変の進展が抑制されていた.以上より,右側あるいは区域性に加えて,直腸の炎症欠如,虫垂開口部病変,直腸の斑状病変など非連続性,非びまん性病変などの存在に言及した新しいUCの診断基準概念を提唱するべきであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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