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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻4号

2001年03月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎診断基準の問題点 主題症例

潰瘍性大腸炎に併発した小児胃癌の1例

著者: 佐野壽昭1 岡久稔也2 清川誠治3 片岡孝一4 若槻真吾1 鈴木雅晴2 安友康二3 漆原真樹3 伊東進3 高橋正倫5

所属機関: 1徳島大学医学部第1病理 2徳島大学医学部第2内科 3徳島大学医学部小児科 4徳島県立中央病院内科 5徳島県立中央病院病理

ページ範囲:P.580 - P.584

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要旨 患者は14歳,男児.13歳時に難治性の潰瘍性大腸炎(UC)で全結腸切除を受けている.今回入院3か月目に噴門直下と幽門部を中心に全周性の潰瘍,胃角大彎の約1cmの山田Ⅲ型の隆起性病変をみた.生検では全域で炎症細胞浸潤が高度で,再生か腫瘍か判別しがたい異型腺管が散見された.ポリープ状病変は癌と診断され,EMR標本にて炎症細胞浸潤を伴う粘膜内の中分化管状腺癌であった.7か月目に新たに幽門部に約2cmの境界不明瞭な隆起を認め,10か月目に3~4cmの結節集簇様平坦隆起に発育した病変にEMR施行.組織所見は初回の切除病変と同様のm癌であった.本例の胃病変は組織学的にUCおよびcolitic cancerの所見と酷似した.胃を侵すUCは極めてまれであり,colitic cancerと同様の発生機序が想定される癌が胃に多発した例はこれまで報告されていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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