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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻5号

2001年04月発行

文献概要

今月の主題 早期の食道胃接合部癌 主題症例

主として食道内発育を示した隆起型食道胃接合部腺癌の1例

著者: 葉梨智子1 吉田操1 出江洋介1 門馬久美子2 加藤久人3 大橋健一4 船田信顕4

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院内視鏡科 3東京都立駒込病院消化器内科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.729 - P.733

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要旨 患者は54歳,男性.51歳時より胃十二指腸潰瘍の診断治療を受け,毎年人間ドックで内視鏡検査を行っていたが,心窩部痛にて行った内視鏡検査で食道病変を指摘された.上部消化管造影にて噴門部前壁に大きさ2.2×1.5cmの隆起性病変があり,中央にバリウム斑を認めT1b(sm3)と診断.また内視鏡にて食道胃粘膜接合部に同様の0-Ⅰpl型T1b(sm3)の食道癌と診断.生検にて腺癌であった.全身状態良好にて手術を行い,高分化型管状腺癌,pT1b(sm3)N0M0 pStage I,ly0,v2の病理組織診断であった.食道胃接合部癌は,生理的狭窄や複雑な形態からスクリーニングで見落とされやすく,他部位の胃癌に比し表在癌の頻度が低い.隆起型を呈した高分化型腺癌で,大きさ2.0cmと小さい割に既に粘膜下層深部に浸潤している比較的特徴的な症例であった.明らかなBarrett上皮,食道腺由来の組織学的所見はなく,胃噴門腺に癌の進展がみられ,胃噴門腺由来の可能性があるが,病変の4/5は食道側にあり,発生母地の特定は困難であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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