今月の主題 早期大腸癌の深達度診断にEUSと拡大内視鏡は必要か
主題
拡大内視鏡による早期大腸癌の深達度診断
著者:
山野泰穂1
工藤進英2
今井靖1
前田聡1
高見啓央1
工藤智洋1
大須賀達也1
渡辺秀考1
小笠原仁1
鈴木雅雄1
日下尚志1
作左部大1
為我井芳郎2
木暮悦子2
原栄志2
工藤由比2
小幡まこと2
梅里和哉2
池原伸直2
竹内司2
杉安保宣2
所属機関:
1秋田赤十字病院胃腸センター
2昭和大学横浜市北部病院消化器センター
ページ範囲:P.759 - P.768
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要旨 秋田赤十字病院胃腸センターにて拡大内視鏡観察が可能であった大腸腺腫,早期癌10,656病変を対象として,pit pattern分類(工藤分類)と病理組織診断の対比を行った.その結果,ⅢL型は96.7%が腺腫であり,Ⅳ型も大半が腺腫であるが,腫瘍径が大きい病変もあるため腺腫内癌も含めたm癌15.8%,sm癌は軽度浸潤癌を主体として2.9%を認めた.ⅤA型では軽~中等度異型腺腫は圧倒的に減少したのに対して,高度異型腺腫22.6%,m癌32.6%,sm癌22.2%とm癌を中心としていたが,この理由として他のpit patternを除外したものが含まれていること,病理学的にも境界領域的なものが対象となっている点が考えられた.一方ⅤN型では,60.3%がsm癌であり,その80.2%がsm深部浸潤癌であった.以上より深達度診断にはⅤN型がsm深部浸潤癌として重要な指標であり,ⅤA型はm癌を基準とした腺腫とsm軽度浸潤癌を主体としたsm癌との中間に位置すると判断すべきと考える.