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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻6号

2001年05月発行

文献概要

今月の主題 早期大腸癌の深達度診断にEUSと拡大内視鏡は必要か 主題

早期大腸癌の深達度診断における通常内視鏡,注腸X線,超音波内視鏡,拡大内視鏡検査の有用性に関する検討

著者: 津田純郎1 菊池陽介1 頼岡誠1 久部高司1 永江隆1 平井郁仁1 帆足俊男2 真武弘明1 松井敏幸1 八尾恒良1 尾石樹泰3 岩下明徳3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡県済生会二日市病院胃腸科 3福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.769 - P.782

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要旨 早期大腸癌100病変を対象とし,深達度診断(m,sm1とsm2,3の鑑別)における通常内視鏡検査(E)とEに組み合わせて施行した注腸X線検査(X),超音波内視鏡検査(U),拡大内視鏡検査(M)の有用性を治療前の総合診断を基準にして検討し以下の結果を得た.(1)Eで病変を詳細に観察できた観察可能は89病変で,大きさなどのために観察が不十分な観察不可は11病変だった.観察可能のうち88病変を正診し,1病変を誤診した.正診のうち83病変は所見から簡単に診断できた確診で,5病変は所見の解釈が難しく診断に苦慮した疑診だった.観察不可のうち4病変が正診し,7病変を誤診したがすべて疑診だった.つまり,Eの正診は92病変だが疑診を9病変含んだ.(2)Eの観察不可で誤診した2病変が総合診断で正診され,総合診断の正診は94病変だった.(3)病変に施行した検査は,Eのみの1検査群,EとXの2検査群,EとXとUの3検査群,EとXとUとMの4検査群の4群があった.(4)観察可能のうち正診した確診病変は,組み合わせた検査の診断が誤診であってもすべて総合診断で正診され,組み合わせた検査の意義はなかった.(5)Eで正診した中の疑診病変と誤診した病変を総合診断の正診に導いた検査を有用,導かなかった検査を不要とした.結果,観察可能で有用な検査は4検査群に認めた.X線は7%,EUSは17%,拡大内視鏡は13%が有用だった.観察不可で有用な検査は2検査群と3検査群に認めた.2検査群ではX線は60%,3検査群ではX線は40%,EUSは40%が有用だった.3検査各々に有用な検査を認めたが,それは観察不可に多かった.更に,不要な検査数は有用を上回っていた.したがって,今後は効率のよい検査の組み合わせを検討する必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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