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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻6号

2001年05月発行

今月の主題 早期大腸癌の深達度診断にEUSと拡大内視鏡は必要か

主題

拡大内視鏡を重要視する立場からみた早期大腸癌の深達度診断の有用性―Ⅴ型亜分類とクリスタルバイオレット染色併用法の必要性について

著者: 中村尚志1 山村彰彦2 細井董三1 岡田利邦1 中井呈子1 山田耕三1 入口陽介1 益満博1 知念信昭1 大浦通久1 宇野昭毅1 中橋栄太1 小田丈二1

所属機関: 1多摩がん検診センター消化器科 2多摩がん検診センター検査科

ページ範囲:P.829 - P.836

文献概要

要旨 早期大腸癌139病変を対象に,拡大内視鏡による腺口形態(pit pattern)の観察が深達度診断に有用であるかどうかを検討した.工藤の提唱するⅤ型亜分類に準じてみると,VA型の71.7%がm,sm1,28.3%がsm2,3であり,VN型の16.7%がm,sm1,83.3%がsm2,3であった.その結果,Ⅴ型亜分類は深達度に有意差(p<0.01)が認められた.次に,通常およびインジゴカルミン撒布による観察(通常観察群)とそれにクリスタルバイオレット染色を併用した拡大観察(拡大観察群)の深達度正診率は,両観察群において有意差はなかった.しかし,両観察群を深達度に関する確診群と疑診群に分けて検討した結果,通常観察群と比較して拡大観察群では疑診群の数が著明に減少し,確診群の病変数の頻度は増加し,全対象病変からみた確診群の正診率が通常観察群の74.8%(104/139)から拡大観察群の90.6%(126/139)に向上した.以上から,深達度診断に関する拡大内視鏡観察の有用性が支持されると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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