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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻8号

2001年07月発行

今月の主題 多発食道癌

主題

多発食道癌と粘膜切除

著者: 門馬久美子1 吉田操2 山田義也3 小澤広3 加藤久人3 榊信廣3 荒川丈夫1 葉梨智子2 大橋健一4 船田信顕4

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2東京都立駒込病院外科 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1039 - P.1047

文献概要

要旨 粘膜切除後1年以上経過観察を行った185例227病巣(m癌165,sm癌20)を検討対象とした.同時多発食道癌は31例73病巣(2病巣22,3病巣7,4病巣2)であった.主病巣の病型はⅡcが47.6%と多く,副病巣の病型はⅡbが61.9%を占めていた.副病巣の大きさは10mm以下が57.1%であった.副病巣の40.5%は,主病巣の口側に存在した.副病巣にも粘膜切除を行い,すべて粘膜癌であった.多発食道癌と単発の食道癌における他臓器癌の合併頻度の比較では,癌の既往,同時性および異時性他臓器癌合併のいずれにおいても,多発食道癌のほうが高率であった.異時性食道癌は23例27病巣(12.5%)であった.異時性食道癌の病型はⅡcが59.3%と多く,大きさは20mm以内が92.6%を占めていた.23例中17例(73.9%)は3年以内に発見され,初回治療病巣の肛門側に存在する症例が,15病巣(55.6%)を占めていた.25病巣(92.6%)に粘膜切除を行い,深達度はすべて粘膜癌であった.異時性食道癌例における他臓器癌合併頻度は高く,特に異時性他臓器癌を8例(34.8%)に認め,23例中4例(17.4%)は,3重複癌症例であった.異時性食道癌発生の背景として,初回治療病巣が多発であり,食道粘膜に多数のヨード不染部を認める症例に,高率に異時性食道癌を認めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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