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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻8号

2001年07月発行

文献概要

今月の主題 多発食道癌 主題症例

多発食道表在癌の1例

著者: 小山恒男1 宮田佳典1 友利彰寿1 堀田欣一1 島谷茂樹1 山田繁1 比佐岳史1 古武昌幸1 高松正人1 都甲昭彦2 松沢賢治3

所属機関: 1佐久総合病院内科 2佐久総合病院外科 3丸子中央総合病院内科

ページ範囲:P.1057 - P.1061

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要旨 患者は69歳,男性で,切歯から26cmの右壁に褪色調で平坦な0-Ⅱc病変を認めた,トルイジンブルー・ヨード二重染色では境界明瞭なヨード不染となり,病変内の一部がトルイジンブルーで淡染したが,濃染部はなく深達度M1と診断した.一方,切歯より32cmの左壁に発赤調で境界明瞭な陥凹性病変を認めた.陥凹面はやや不整でトルイジンブルー・ヨード二重染色にて,病変部は境界明瞭なヨード不染を呈した.空気少量では畳目模様の出現も認め,深達度Tis(M1)の0-Ⅱc型食道表在癌と診断した.EMRの結果両者とも深達度Tis(M1)の同時多発食道表在癌であった.食道表在癌は多発傾向があり,1992年から2000年までに佐久総合病院で診断治療した食道表在癌85例中12例(14.1%)が同時多発であった.したがって,1つの食道表在癌を発見した場合には同時多発癌の存在を念頭に置き,全食道のヨード染色観察を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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