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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻8号

2001年07月発行

今月の主題 多発食道癌

主題症例

表在型食道扁平上皮癌に合併した類基底細胞癌の1例

著者: 藤原由規1 西上隆之2 伊藤令子1 中尾宏司1 中川一彦1 山村武平1

所属機関: 1兵庫医科大学第2外科 2兵庫医科大学第2病理

ページ範囲:P.1073 - P.1077

文献概要

要旨 患者は76歳,男性.嘔吐を契機に受けた上部消化管内視鏡検査で,食道の異常を指摘され当科紹介となった.食道造影では,Mt領域に0-Ⅰpl型,Lt領域に0-Ⅰpl型食道癌の所見を認めた.内視鏡検査では,上切歯列より32cmの食道に頂部にびらんを有する0-Ⅰsep型,37cmに表面に結節,顆粒を有する0-Ⅰpl型食道癌を認めた.いずれも推定深達度Tlb(SM)であり,生検で扁平上皮癌と診断され,食道切除術が施行された.切除標本では,口側病変は,食道類基底扁平上皮癌,深達度Tlb(SM2),肛門側病変は,中分化型扁平上皮癌,深達度Tlb(SM3)と診断した.扁平上皮癌と類基底細胞癌の合併はまれであり,また,比較的近傍に2つの病変が存在することより,field carcinogenesisの可能性を示唆する所見であり,食道癌の発生,悪性度を考えるうえで貴重な症例であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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