今月の主題 GIST(gastrointestinal stromal tumor)―概念と臨床的取り扱い
主題
gastrointestinal stromal tumor(GIST)の臨床病理―消化管間葉系腫瘍の概念の変遷とGISTの定義・臓器特異性を中心に
著者:
岩下明徳1
大重要人1
原岡誠司1
尾石樹泰1
八尾恒良2
菊池昌弘3
渕上忠彦4
朔元則5
今村健三郎6
所属機関:
1福岡大学筑紫病院病理部
2福岡大学筑紫病院消化器科
3福岡大学医学部病理学教室第1講座
4松山赤十字病院消化器科
5国立病院九州医療センター外科
6健三郎今村クリニック
ページ範囲:P.1113 - P.1127
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要旨 消化管間葉系腫瘍(GIMT)251手術症例,特に間質腫瘍(狭義のGIST)105症例について,臨床病理学的立場から検討した.GIMTはRosai分類に従って平滑筋型137,神経型7,混成型2,中立型(狭義のGIST)105例に分類された.105例のGISTの発生部位は食道0,胃81,小腸16,大腸8例であり,またGIMT中に占めるGISTの割合も食道は他部位に比べて有意に低率であった.組織学的には良性19,境界領域22,悪性64腫瘍に類別されたが,それぞれの平均核分裂数は2.4,13.5,17.6個/50HPFであった.部位別の悪性腫瘍比率は胃54.3%,小腸75%,大腸100%であり,胃と大腸間には有意差を認めた.以上の結果から,GISTは食道には少なく,大腸では悪性腫瘍の比率が高いという臓器特異性を指摘した.併せてGIMTの概念の変遷,GISTの定義,悪性度の指標および組織発生について簡単に考察を加えた.