今月の主題 GIST(gastrointestinal stromal tumor)―概念と臨床的取り扱い
主題
GISTの臨床的対応―粘膜下腫瘍におけるGISTの頻度と臨床的取り扱い
著者:
川口実12
三治哲哉23
森安史典2
若菜洋一4
小柳泰久4
中野優5
山澤堉宏5
芹沢博美6
海老原善郎6
所属機関:
1国際医療福祉大学臨床医学研究センター・山王分院内科
2東京医科大学第4内科
3社会保険蒲田総合病院消化器科
4東京医科大学第3外科
5東京医科大学総合健診センター
6東京医科大学病院病理部
ページ範囲:P.1137 - P.1145
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要旨 当施設におけるGISTの発見頻度とその臨床的取り扱いについて述べた.健診の胃造影検査受検者を対象とすると約0.3%にGIMT(gastrointestinal mesenchymal tumor)が発見される.GISTは現時点では病理診断名であり,臨床的にはGIMTと診断される.GIMT中に占めるGISTの頻度は70.7%,筋原性腫瘍が24.4%,神経原性腫瘍が4.9%であった.従来の筋原性腫瘍の病理学的悪性度診断指標でみるとGISTは良性と診断されたものの52.4%,悪性と診断されたものの90%を占めていた.GIMTの大きさ別GISTの頻度をみると,大きさに関係なく認められた.従来の筋原性腫瘍に適用されていた臨床的悪性度診断指標はGISTにも適用される.しかし,遺伝子学的研究などが進歩している現在,組織を採取し,正確な組織診断を行い,その上で臨床的対応を決定する方向に進むことが必要と思われる.