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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻9号

2001年08月発行

今月の主題 GIST(gastrointestinal stromal tumor)―概念と臨床的取り扱い

主題

GISTの臨床的取り扱い―胃・小腸を中心に

著者: 高見元敞1 藤田淳也1 塚原康生1 柴田高1 福島幸男1 池田公正1 北田昌之1 島野高志1 佐藤正之2 花田正人3 玉井千里3

所属機関: 1市立豊中病院外科 2市立豊中病院放射線科 3市立豊中病院病理

ページ範囲:P.1147 - P.1156

文献概要

要旨 これまで筋原性腫瘍が大部分を占めると考えられてきた消化管の紡錘形細胞腫瘍は,近年の免疫組織化学の知見に基づき,その多くがGISTという概念で包括的に論じられるようになった.われわれもこの考え方に従い,胃と小腸を中心にその臨床的取り扱いを検討した.市立豊中病院でこれまでに経験した症例は,胃30例,小腸26例(十二指腸7例,空腸13例,回腸6例)である.良悪の判定は,主に腫瘍組織の核分裂数を指標とし,良性・低悪性度,高悪性度の三段階に分類したが,これは予後とよく相関していた.GISTを臨床的に取り扱う上で最も重要なことは腫瘍の大きさと発育形式であり,可能な限り縮小手術(部分切除あるいは局所切除)にとどめるべきである.高悪性度と判定したものは全例肝または腹膜転移で死亡し,治療成績は極めて悪い.最近,c-kit陽性腫瘍に対してTyrosine kinase阻害剤を治療に応用し,効果が期待されている.低悪性度の腫瘍は術後10年以上を経て再発(肝転移)するものがあり,長期にわたる経過観察が必要である.なお,GISTは,臓器により悪性度が異なり,胃に比べて小腸では悪性度の高いものが多く,予後不良であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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