今月の主題 GIST(gastrointestinal stromal tumor)―概念と臨床的取り扱い
主題
胃間葉系腫瘍の画像診断―特に狭義のGISTの特徴像について
著者:
今井裕1
渡邊芽美2
杉野吉則2
栗林幸夫2
大谷吉秀3
北島政樹3
向井万起男4
所属機関:
1東海大学医学部放射線科学
2慶應義塾大学医学部放射線科
3慶應義塾大学医学部外科
4慶應義塾大学医学部病理診断部
ページ範囲:P.1163 - P.1168
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要旨 胃の間葉系腫瘍55病変(53症例)について,CD34,c-kit protein,S-100 protein,Desmin,α-smooth muscle actin(SMA)の5種類の免疫染色を行い,免疫組織化学ならびに臨床病理学的検討を行った.この中でCD34およびc-kit陽性を示す腫瘍をCajal cell type(狭義のGIST)とし,他の間葉系腫瘍と比較し検討した.免疫染色を施行して再分類を行った結果では,これまで平滑筋肉腫として診断されていた31例中17例がGISTに,2病変が神経鞘腫に診断が訂正された.しかし,平滑筋腫からGISTへと再分類された腫瘍はなかった.腫瘍の形状をみてみるとGISTは多結節性を示す傾向にあり,さらに小さな腫瘍でも潰瘍形成を呈する頻度が高かった.また,CT,MRIでは,GISTは18病変中13病変において内部に変性所見がみられ,そのうち9病変は散在性の分布を示した.