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文献詳細

雑誌文献

胃と腸36巻9号

2001年08月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

腫瘍の露出により特異な形態を呈した直腸カルチノイドの1例

著者: 名倉一夫1 冨田栄一1 杉山昭彦1 建部英春1 後藤尚絵1 高井光治1 向井強1 下村順子1 塩屋正道1 西垣洋一1 杉原潤一1 若原達男1 菅野昭宏2 大下裕夫2 種村廣巳2 山田鉄也3

所属機関: 1岐阜市民病院消化器内科 2岐阜市民病院外科 3岐阜市民病院中央検査部

ページ範囲:P.1209 - P.1216

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要旨 患者は48歳,女性.主訴は肛門出血.大腸内視鏡検査にて下部直腸に丈の高い隆起性病変を認めた.基部は健常粘膜に覆われ,隆起部には,まだらな発赤調で凹凸不整な腫瘍の露出を認め,その表面の拡大観察所見は工藤分類のV型(無構造)に相当した.超音波内視鏡検査にて深達度は粘膜下層までと判定,近傍のリンパ節の腫大は認めなかった.生検にてカルチノイドと診断され,直腸低位前方切除術と所属リンパ節郭清(D1)を施行した.切除標本で腫瘍の大きさは16×15×11mmで粘膜下層までにとどまるカルチノイドであり,リンパ節転移は認めなかった.本症例はカルチノイドの発育過程で被覆上皮が脱落したために腫瘍が露出し特異な形態を呈したと考えられ,興味ある症例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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